風呂あがりに髪を乱雑に拭いていた指先が右の耳に触れ、あるはずのものがない感覚にさあっと青ざめた。入浴前にピアスははずすようにしていたからいつからピアスがないのかちっとも気がつかなかった。 「あー……」 昼間掃除したときはなかったし、脱衣所を確認してみてもそれらしいものはない。もともとキャッチがゆるくなっていたから外出したときに弾みで落ちてしまったのだろう。基本的に夜しか出歩かないので見つかる確率は絶望的だ。 「あーあ」 無意味に耳をいじくる。気に入っていただけにかなり惜しい。あれはコロネロが半分だけくれたピアスに合わせて購入したものだ。ジャッポーネに行ったときに買ったブラックシェルの小さなそれ。 「なんて言おう」 相方をなくしたのでもうつけられません、なんて言えるわけないのに。
ピ
ア
ッ
ス
ィ
ン
グ
ソ
ン
グ |