あどけないガキみたいな甘ったれた顔しているくせに、アリエッタ、あんたはだれよりも最低だ。
「や、だ……やだやだやだやだ! だ、だめ、ですっ。シンク、死んだらだめっ……おねがい、です。死なな、いで……イオンさまみたいに、イオンさまみたいにアリエッタを置いてかないでえ!」
 いつも抱きしめている不気味なぬいぐるみを放りだして、地殻から生還したばかりの(めでたくもない二度目の臨死体験だった)ぼくの服を引きちぎるいきおいでつかんでぼろぼろ泣いたくせに、あんたは平気でぼくを置いてくんだ。この大うそつき。むかつくくらい満足そうな顔してないでよ。血だらけで傷だらけのくせしてさ。どうせならあんたの母親やおともだちみたいに(そう、ぼくと同じように)音素になってしまえばいいのに。
「そしたら、いつかはひとつなのに」





さみしさだけを置いて
(まったくひどい冗談だよばかじゃないの)